入国したベトナム人が語る、レジデンストラックの実態について

「レジデンストラック6つの障壁」

ホームページを開設して約1カ月がたちました。

少しでも、外国人材採用にかかわる方へお役に立てる情報を発信していきたいと思います。

さて、マンサポでも、ベトナムで待機中の技能実習生や技術者、特定技能者が入国できずにおります。

政府は、特例措置とした入国者として、まず他国に先駆けベトナムとタイからの入国拒否を解除する「レジデンストラック」なるものを開始いたしましたが、なかなかハードルが高く、受け入れ側の費用面を含めた対応のリスクに困惑しております。

そのような中で、当初の優先対象者であった「再入国者や永住権者、技術者や特定技能者」に続き、「技能実習生」のビザ申請も開始され、従来日本国側の航空機が主だったものから、ベトナム政府からの要請によりベトナム航空便も運航開始が決定しました。

そこで、技能実習生ほかの受け入れを待ち望んでいる方々への生の情報として、現時点での入国に際する実態をつぶやきます。(現時点の情報ですから、今後は緩和などの変更があることを期待しています)

先日、成田空港へ再入国した知り合いのベトナム人から、ハノイ空港を出発して、成田空港へ到着してから入国までの体験談を聞きました。(あくまでも、彼の体験談です)

1.PCR検査72時間前は危険

彼は、出発の72時間前までに現地の医療機関でPCR検査を自費で受けました。無事に陰性証明書を発行してもらい出国しました。

(しかし、ギリギリ72時間前で検査した場合に、飛行機が遅れるなどの理由により72時間を超えて入国してしまい、罰金8万円を支払ったとの知人からの情報もあるみたいです)

今後の対応として、現地出発の前日にPCR検査を受けて、出発当日に結果をもらって空港へ向かうようにしたほうが良いそうです。かなりハードです。

2.機内アンケート(問診票)の実情

次に、機内で簡単なアンケートに答えなくてはなりませんが、その文章が日本語と英語だけだそうです。

機内のベトナム人の多くは、日本語も英語もわかりません。彼が困っている人へ説明をしたそうです。

日本政府は、外国人はすべて英語が話せると思っているのでしょうか。それとも、ベトナム語でアンケートを取った場合に、入国審査官はベトナム語が分からないからでしょうか。どちらにせよ、現場の体制に無理があると感じました。

3.長時間待機の実態

成田空港へ到着すると、PCR検査を無償で受けます。結果が出る間に申請書類やアンケートの確認を個別に行うそうです。ここでも言葉の問題があったそうです。

無事、PCR検査結果が陰性だったので入国ができましたが、その間に要した時間は約3時間だったそうです。

それでも早いほうで、先のとおり言葉の問題で長時間かかるケースもあり、小さな子連れには耐えられないだろうと言っていました。

せっかく、日本へ来られるようになったのでしたら、もう少し人に優しい対応はできないものか心が痛みます。

(新型コロナウイルス対策に伴う政府の決定はすべて現場丸投げで、現場の体制が整わずに多くの不満を国民に与えてしまいましたが、今度は同じことを外国人へも行うのでしょうか)

4.レンタカーで7時間

入国後に公共交通機関が使用できないため、彼はレンタカーで7時間かけて名古屋まで移動をしたそうです。

(早急に国内主要空港からの入国を可能にしてほしいです。マンサポとしては名古屋からですね)

5.一人1台のポケットWi-Fi

先日、政府のリモート説明会では、空港でのPCR検査で陰性であっても技能実習生などは、規定のアプリをダウンロードした上で、個室で14日間隔離をして、その間LINEアプリで健康状態を毎日報告しなくてはならないとのことです。

入国前のベトナム人へ、どのタイミングでダウンロードするためのスマートフォンを支給するのか?一人1台を支給しなくてはならないのか?

(技能実習生は、スマートフォン本体は母国から持参する場合が多いのですが、日本国内ではWi-Fiで利用します。受け入れ側はWi-Fiを寮へ設置するか、最近では移動可能な携帯タイプを1台支給する)

6.陰性でも個室隔離

技能実習生は制度上、入国後講習のため約1~2か月間は日本語学校などで入国後講習を受けますが、その場合の宿舎は共同部屋です。

しかし、今回は、個室を用意しなくてはなりません。物理的に確保が厳しいことを知った上でのことでしょうか。当然、受け入れ側の費用負担も大きくなります。 誓約書の文面では「不特定の者と接触を行わないこと」とありますから、同時入国者同士(特定の者)なら同室可能といった、もう少し現実的な取り決めにしていただけると助かります。

「今回の措置は特例なので、この条件がクリアできなかったり、不満がある人は入国しないでください」と言っているように感じてしまいます。

同じベトナム人でも日本人の配偶者などは自宅待機で良いとのことです。この差は何でしょう。

同じ状況で同じPCR検査で陰性だったにもかかわらず、同じ国民であり、感染リスクは同じはずなのに物理的な制約を変えることで、実現困難な状況を招くことの意図が理解できないのは私だけでしょうか。

さいごにひとこと

とはいえ、「やっと動き出した!」というのが本音です。 入国を待ち望んでいる外国人たちへの「お・も・て・な・し」こそ、来年開催延期とはなりましたが、オリンピック開催国でありグローバル化を進める日本国として、もっとも大切な姿勢だと感じる今日この頃です。