マンサポが考える、優秀な技能実習生と日本語の位置づけとは

マンサポの外国人雇用に伴う日本語会話力については、以下の通りの位置づけです。

日本語の能力と仕事の能力

外国人が日本国(当人から見ると日本は外国)で生活をして、働くわけです。特に外国語が苦手な日本人社会で、お互いにストレスを溜めずにコミュニケーションを行うためには、日本語ができるにこしたことはありません。

しかし、日本人(政府や業界団体含む)の考えでは、日本語ができる外国人=優秀な外国人という考え方が主流となっています。

その点に関して、マンサポの考え方は異なります。

マンサポでは、日本国内で働くことが合法の外国人の紹介を行っておりますが、外国人が実際に働く中での、職場でのトラブル解決や監督者からの評価の実情を目の当たりにしてきた経験から、「日本語能力が高い外国人=優秀な外国人」ではないことは明らかです。

特に、技能実習生に関しては、母国と入国後の数か月間だけ日本語教育を受けた状態で日本の職場で働き始めます。

最初から日本語の会話力が高いはずがありません。

ということは、ほとんどの技能実習生は、採用段階では「優秀ではない」という理屈となります。

これは、決して屁理屈(へりくつ)ではありません。

しかし、入社後の採用現場からの評価は決して悪くはありません。中には日本人より「優秀」との評価を得ている人も少なくないのが実態です。

大きな矛盾ですね。そもそも「日本語能力が高い=優秀」ならば、「外国人が日本人より優秀」との評価を得られるはずがありません。

つまり、日本語能力は冒頭で述べた通りコミュニケーション能力として高いほうが良いですが、だからといってイコール優秀ではないということになります。 以上がマンサポの日本語能力に対する基本的な位置づけです。

日本語会話力は必要条件か

繰り返しになりますが、答えはノーです。

しかし、必要条件となり得ることを完全に否定するわけではありません。

矛盾していると思われる方も多いかもしれませんので、少し講釈を述べさせていただきます。

必要条件であれば、「日本語ができる外国人は、すべて優秀である」ということになります。

しかし、さきほど「日本語ができる外国人=優秀」ではないと言いました。

どういうことかというと、必要条件かどうかは、日本語力の前に個々の潜在能力次第だということです。

約20年間、技能実習生の現場を経験し、その間に1,000人以上の技能実習生と接してきました。

そのような私が経験した技能実習生の極端な事例でお話しします。

3年間の実習生活を過ごしながら帰国前に日本語能力検定1級(N1)合格をしたAさんがいました。同様に3年間の実習生活を終了したのに日本語がまったくできないBさんもいました。

日本語能力が優秀であるための必要条件であるなら、Aさんはとても優秀となり、Bさんは劣等生となってしまいます。

しかし、この事例は全く逆の評価でした。

Aさんは、職場の日本人からの評価は良くなく、Bさんは他の技能実習生では任せられないようなレベルの高い作業を任されていました。

このように、優秀かどうかは日本人の評価基準で決まりますが、そもそも対象者は日本語がわからない外国人です。採用の段階で、いきなり日本語能力で優秀かどうかを見極めることは、あまりにも乱暴であると考えます。

昨年スタートした特定技能は、日本語能力検定4級相当が採用条件となっております。

しかし、多くの経営者が求人をする際に「まじめで、素直で、ルールを守る人」と言われます。要約すると人間性となります。そこに日本語能力がどれだけ影響するかは疑問ですね。

つまり、日本語会話力はプラス要件として考えた場合に、優秀な外国人材と評価されるための多数ある要素の一つとしていうのであれば、「日本語力が高いこと」は間違っておらず、「日本語能力が高い人は優秀である」といえます。しかしこれは、必要条件(真理)ではなく十分条件(要素)ということになります。

そして、仮に前提条件として確実に人間性と潜在能力が高く、「育てれば期待に応えてくれる人材採用が可能」となった場合に限り、「日本語ができる外国人は優秀である」は真理となり、必要条件となり得る可能性があると考えます。

ただしこの場合、「日本語ができる外国人は優秀である」は必要(真理)・十分条件(要素)となります。

なので、我々は出発点である人選(採用面接)がもっとも重要と考えているのです。

(マンサポが考える、外国人技能実習制度とは リンクはこちらをクリック)

職場で優秀な外国人とは

以上のような理由で、欲を言えばきりがありませんが、まずは日本語能力を除外したところで、「優秀な外国人」に成長してくれそうな人物の選択(面接)を実習実施者(受け入れ企業)の方々へ促しております。

つまり、言葉がわからなくても仕事がちゃんとできる人物であり、先ほどの人間性に注目した素材重視の面接方法を心がけております。

人の能力は実際に受け入れてみないとわかりませんし、成長するもしないも環境次第です。

その上で、可能性にかける客観的な見極め方法は重要です。

先の事例は極端ですが、さらに極端な質問をするなら、貴社は「日本語はできるが、成長しない実習生」と「日本語はできないが、成長する実習生」のどちらを選びますか?

もちろん、後者だと思います。

私がマンサポを設立して5年が経過しました。そして、先ほど約20年間で1,000人以上の技能実習生と接したと申しました。ということは数千人の面接を体験してきたわけです。

面接では、一般的に送り出し機関で暗記させた日本語で自己紹介を行います。

実は、その際の日本語の発音が良かったことで採用を決定するポイントとなったケースも多かったのです。

決して間違えとは申しませんが、危険であることはご理解いただけたかと思います。

なので、現在は長年の経験則による面接方法を採用しております。

正しく育てれば期待以上の結果を出してくれる人物が「優秀な外国人」ということが、マンサポの経験則なのです。

将来の人生設計の一環として、特定技能へステップアップする準備のため

上記の通り、マンサポの考えは、「日本語ができる外国人=優秀」ではないと述べました。

しかし、育てれば期待に応えてくれる人材採用が可能あれば、「日本語ができる外国人=優秀である」という結論も述べました。

では、リモート日本語会話教室を始めることとした理由は、マンサポが技能実習生の監理団体としてベトナム人技能実習生を受け入れてから3年が過ぎ、その間に技能実習生の人数も増えました。

そして、マンサポの考える優秀「正しく育てれば期待以上の結果を出してくれる人物」の採用に向けた取り組みが、ある程度成果として現れたことを実感できたからです。

つまり、「日本語能力が高い=優秀な技能実習生」となる前提条件が整いつつあると判断できた以上は、技能実習生を育てるうえで、従来のアニメDVD支給から日本語能力アップへ更なる力を注ぐ段階が来たと判断をしたからです。

現在、日本語講師の資格取得のために学校へ通っているスタッフの鷹野が主体となり、週1回(原則、平日の夜)1時間半程度の学習時間で、4か月20回コースの基礎講座(目標は、特定技能の条件であるN4合格レベル)をリモートでスタートいたしました。

この講座は、希望者がある限り継続をする予定です。 講師を務める鷹野も、今後の国家資格取得へ向けた実習の場となりますし、現場での指導力向上へも直結するという相乗効果も期待したいところです。

(コラム「リモート日本語会話教室を始めました」はこちらをクリック)