アフターコロナ時代の外国人材採用が大きく変わります

日本の中小企業は時代の変化に追いつけるでしょうか!?

新型コロナ禍において、下記の通り、外国人材をめぐる状況は大きく変わりつつあります。

この影響は、アフターコロナの時代となっても元に戻ることは無いという覚悟が必要です。

ここでは、皆様に急速に進む日本国内での外国人材市場の変化とは何か、そして、この変化に追いつく対応についての心構えについてご案内いたします。

〇 アジア圏内の若者の就労先国として、日本離れが加速しております

日本政府における約3年もの期間におよぶ鎖国、技能実習制度や特定技能制度に関する規定等の高いハードル、働き方改革による労働時間の制限、減ることの無い人権問題、etc。

これらが相まって日本で働こうと思う海外の若者が激減しております

現在、彼らにとって人気のアジア国は韓国や台湾、さらにドイツ、オーストラリアがアジア圏の若者獲得へ名乗りをあげました。

その理由は、上記の国は外国人が働くためのハードルが低く、給料も多く稼げることで、彼らにとって魅力的に映るからです。そして、円安がさらに追い打ちをかけております。

アジア圏の若者にとって、日本国の人気は下がる一方の状況です。

この流れは、留学生でも同様です。

留学生は、日本の法律(入管法)によって、日本国の大学および専門学校を卒業しなくては、日本企業へ就職することができません。(例外として、母国の大学卒業生)

留学生の最終目標は日本企業で長く働くことです。

その最終目標である日本企業で働くことへの魅力が無くなれば、自ずと留学先国を魅力のある他国へ変更することは当然の流れです。

〇 定着がもたらす企業経営への意義とは

マンサポでは、設立時から事業の主たる目的を「外国人材の職場定着」として参りました。

そのために、出来る限りの「共生支援」を実施して参りましたが、この3年間で事業の目的達成に関するハードルが急速に高まりました。

その一番の原因が、コロナ禍における外国人材不足を背景とした「外国人材獲得合戦」です。

日本で働くことは、彼らにとっては手段となります。もちろん本音での目的はお金を稼ぐことです。

そこへ、好待遇をうたった求人情報が、母国人で構成されたSNSグループを媒介として山ほど発信されております。

中には、詐欺や違法な紹介ビジネスを行う悪徳ブローカーも横行しております。(政府は積極的に取り締まりをしておりません)

日本人の出生率も未だ年々減少している中で、特に中小企業で働く人材の採用に加え、いかに定着させるかが今後の最大の課題となります。

課題を解決しないと、せっかく手間や費用をかけて人材が採用できたとしても、短期間で辞めてしまえば人手不足へ逆戻りです。

そして、仕事を覚えて高い利益を生み出してくれる人材が育ちません

つまり、人材が定着しない企業は、慢性的な人手不足に加え、熟練した人材不足に陥り、低い生産性に耐えながら経営を維持することとなります。

〇 時代の変化を受け入れることこそが、中小企業の未来を築くスタート

先の情報を元に、今後の人材戦略を見直し、実行に移すことで中小企業は間違いなく「勝ち組」として事業が発展いたします。

ポイントは下記のフローです

①適切な待遇の保証 → ②優秀な人材の獲得 → ③適切な環境と人材教育 → ④人材定着 

→ ⑤生産性の向上 → ⑥業界内で勝ち組となる

 〇 具体的な解決方法とは

下の図で簡単にご理解いただけると思います。

        目指せ、Aエリア企業!!

上記の図は、企業側の満足度をX軸(右へ行くほど満足度が高い)、労働者側の満足度をY軸(上へ行くほど満足度が高い)として、貴社が4つのエリアのどこに現在位置しており、今後どのようにAエリアを目指すかを理解いただくものです。

◎Aのエリアは、その満足度の大小あれ双方が満足をしているエリアです。このエリアに位置している企業であれば、労働者の定着は見込めますし、他のエリアから優秀な人材が集まってきます。当然ですが人手不足に陥る可能性は低く、双方の満足レベルが高いほど勝ち組となります。

では、Aに位置する企業とは、どのような企業でしょうか?

① 労働者は待遇面に満足(給与面に満足、昇給のための条件も明確であり、頑張ればより良い待遇となる)

② 労働者は職場環境に満足(国籍や言葉の壁を感じずに、同じ仲間として差別を受けず働くことが出来る)

③ 労働者は将来設計に満足(この会社で長く勤めることで、収入面だけではなく、技術的・人間的な成長が期待できる)

④ 企業側は仕事の質・量に満足(真面目に一生懸命仕事を行い、指示に従い、ルールなども守る)

⑤ 企業は人間的に満足(現場の日本人ともコミュニケーションを取り合い、良好な人間関係を築いている)

⑥ 企業側は会社への貢献度に満足(積極的に技術・技能習得を目指し、期待以上に寄与している)

●Bのエリアは、企業側にとってはメリットが実現しており満足をしているが、労働者側は不満を感じているエリアです。(コロナ前は最も多いエリア)

コロナ禍の水際対策により、人材獲得合戦が起こる前は、実習生の他に特定技能などの転職可能な人材も、魅力的な転職先(実習生は失踪先)の情報が少なく、あったとしても不安要素が多いために、不満があっても我慢するしかありませんでした。しかし、アフターコロナ時代は外国人材が転職先を選び放題となる可能性があります。悪徳ブローカーは実習生の失踪を促しております。このような状況は今後も継続する可能性があります。よって、人材確保が困難な中小企業では、この変化にいち早く対応をする必要があります。

放置すると、労働者の労働に対するモチベーションは低下し、AまたはCエリアの企業へ転職を目指すこととなります。そして、現在得ている利益は失われることとなります。

では、Bに位置する企業とは、どのような企業でしょうか?

① 労働者は待遇面に不満(給与面に満足できず、頑張っても良い待遇になる可能性が無い)

② 労働者は職場環境に不満(職場内で差別待遇を感じている。大切な仲間として認められず、褒められない)

③ 労働者は将来設計に不満(この会社で長く勤めても、何も得られるメリットは感じられない)

④   企業側は仕事の質・量に満足(真面目に一生懸命仕事を行い、指示に従い、ルールなども守る)

⑤ 企業側は人間的に満足(現場の日本人とも良好な人間関係を築いていると思われる)

⑥ 企業側は会社への貢献度に満足(与えられた仕事は行い、期待通りの結果を出している)

解決方法は、会社側の求める利益を優先することだけに集中せず、労働者の利益も考えることをお勧めします。上記のフローでもお分かりの通り、会社の利益を生み出す資本が労働者です。その労働者を生かすも殺すも企業の考え方次第であり、殺してしまえば資本を失うこととなります。

また、投資した資本が大きな利益に直結することで、本当の満足が実現するはずです

Aエリアと比較してみてください。

●Cのエリアは、①人材採用時点で大きなミスがあったか、②採用後の教育指導面でミスがあったと思えるケースです。

「労働者からは満足」が得られているにもかかわらず、「企業側は不満」を感じている場合です。

このままでは、定着が望めても企業にとっての満足は得られません

では、Cに位置する企業とは、どのような企業でしょうか?

① 労働者は待遇面に満足(給与面に満足、昇給も、頑張ればより良い待遇となる)

② 労働者は職場環境に満足(国籍や言葉などの差別を受けず働くことが出来る)

③ 労働者は将来設計に満足(この会社で長く勤めることで安定した収入が得られる)

④ 企業側は仕事の質・量に不満(真面目に一生懸命仕事はせず、指示・ルールなども守らない)

⑤ 企業側は人間的に不満(現場の日本人と積極的にコミュニケーションを取らない)

⑥ 企業側は会社への貢献度に不満(与えられた仕事が出来ず、期待通りの結果が出ない)

解決方法は、労働者が満足しているので企業側の待遇面に問題はありません。このケースでは、繰り返しとなりますが、①採用した人材に問題があったか、②採用後の教育や指導面で問題があったか。このいずれかの可能性が高いです

つまり

①どんなに会社を魅力的にしても、働く人材のレベルが低いと満足は得られません。

また、

②優秀な人材の採用が出来ても、適切な教育・指導を行わないと企業側の満足には結び付きません。

良い人材の確保はすべての出発点です。

信頼と実績のあるルートからの人材募集が一番です。

そして、教育・指導は相手を十分理解した上で適切に行わないと、理解が得られずに成果が乏しくなります。

監理団体等の専門家による支援があれば、さらに成長が期待できます。

ポイントは、採用方法そのものの見直しと、外国人材に適した教育・指導方法を会得することで、すぐにAエイアへ移れます。

●Dエリアは、企業・労働者の双方が不満同士のエリアです。

① 労働者は待遇面に不満(給与面に満足できず、頑張っても良い待遇になる可能性が無い)

② 労働者は職場環境に不満(職場内で差別待遇を感じている。仲間として認められない)

③ 労働者は将来設計に不満(この会社で長く勤めても、何も得られるメリットは感じられない)

④ 企業側は仕事の質・量に不満(真面目に一生懸命仕事はせず、指示・ルールなども守らない)

⑤ 企業側は人間的に不満(現場の日本人と積極的にコミュニケーションを取らない)

⑥ 企業側は会社への貢献度に不満(与えられた仕事が出来ず、期待通りの結果が出ない)

解決方法は、BとCのマイナス面を同時に解決する以外に方法はありません。なぜ外国人の採用を決めたのか。客観的な現実を受け入れる必要があります。

同時に、採用に関しても信頼できるルートから募集をすることが重要となります。

正しい教育・訓練のやり方を学ぶ必要もあります。

人は採用してみないと分かりませんが、このケースではどのような人材を採用しても定着は望めず、本来得られる満足も得られません

一気にAエリアは望めませんので、まずはCエリア(労働力の定着)を目指すべきです。

その土壌が出来さえすれば、Bエリアの解決策である募集ルートや、採用後の協力が得られる相手(監理団体等)と組むことで解決が出来るはずです。

                           

協同組合マンパワーサポート・はままつ